所有者の承諾がなければ売却の難しい不動産。
ですが、認知症患者が増加している昨今、親が認知症になってしまったらどうすればよいのでしょうか。
今回は、親が認知症になってしまった場合の不動産売却方法にフォーカスします。
成年後見制度やその注意点について深掘りするので、不動産の売却を検討中の方は、参考にしてみてくださいね。
不動産の売却で親が認知症だったら?成年後見制度を活用しよう
認知症の方の不動産売買は、本人に判断能力がない場合、単独での取引が無効になります。
本人の判断能力については、医師の診断が必要です。
名義人が認知症患者本人であれば、たとえ家族でも代理での売却は難しいでしょう(判断能力があると認められれば、委任状により代理での売却は可能)。
そこで活用したいのが、成年後見制度です。
成年後見人を立てて、認知症患者の財産を代わりに管理・保護します。
家庭裁判所により選任されますが、候補者を申請することは可能です。
家族(配偶者・子・4親等以内の親族)のほかに弁護士などへも依頼できます。
申し立ての手続きは複雑なので、司法書士に依頼するのが一般的です。
成年後見人になれば不動産の売却が可能ですが、あくまでも本人の利益のためであるかを裁判所に判断され、許可を得た場合に限ります。
後見人の選任までは申し立てから2か月程度、売却の許可までに数週間程度はかかることも覚えておきましょう。
親が認知症の場合の不動産売却で成年後見制度を利用するときの注意点は?
続いて、親が認知証の場合の不動産売却における成年後見制度の注意点についてご説明します。
報酬が必要
家族が成年後見人になり、請求しなければ発生しませんが、弁護士などに依頼した場合は月に2万円から6万円程度の報酬が必要です。
通常の売却より時間がかかる
先述したとおり、売却するには裁判所による成年後見人の選任や許可が必要なので、通常の売却より時間を要します。
相続の際に手続きが必要
家族が成年後見人になった場合は、ほかの家族が不利益になるとみなされ、「利益相反」という状態に。
この場合、ほかの家族も成年後見人に選出したり、監督人を立てたりする必要があります。
辞退が難しい
辞退のためには、再度裁判所の許可を得たり、後任を選出したりすることが必要です。
売却が完了したからといって簡単に辞退することは難しいため、注意しましょう。