相続人がいない不動産を売却したい場合は、「相続財産管理人」を利用して不動産を売却する必要があります。
ここでは、相続した不動産の売却を検討している方に向けて、相続財産管理人を利用した不動産売却の手続きの流れや必要書類、注意点について解説します。
相続財産管理人を利用した不動産売却の手続きの流れや必要書類
不動産所有者が亡くなってしまった場合に、相続人がいない、または相続放棄により不動産の所有者が不存在となってしまうケースがあります。
たとえば不動産所有者が借金をしたまま亡くなってしまい、債権者が借金の返済のために不動産売却を求める場合などに、相続財産管理人を利用して不動産売却をすることが必要です。
相続財産管理人を利用した不動産売却の手続きの流れ
1.家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てをする
2.相続財産管理人が選任される
3.相続財産管理人の公告を開始する
4.不動産を売却する
5.債権者へ公告する
6.債権者・受遺者への支払い(複数の場合は分配)
余剰金が発生した場合は、余剰金を国庫へ帰属するまで相続財産管理人による手続きがおこなわれます。
手続きに必要な書類
手続きに必要な書類は、ケースごとに異なりますが、主な必要書類は次のとおりです。
●申立書
●被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
●被相続人の住民票除票または戸籍附票
●被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
●戸籍謄本や金銭消費貸借契約書の写しなど、被相続人との関係を証明する書類
●不動産の登記事項証明書
●相続財産管理人の候補者を申し立てる場合は、その者の住民票または戸籍附票
相続財産管理人を利用した不動産売却の注意点
相続財産管理人を利用した不動産売却には、次のような注意点があります。
【注意点1】
家庭裁判所が指名した相続財産管理人の場合、不動産売却に協力的ではない可能性があります。
あらかじめ相続財産管理人の候補者を選んでから、申し立てましょう。
【注意点2】
相続財産管理人への報酬が不足しないように、家庭裁判所から数十万円程度の予納金の支払いを求められる可能性があります。
予納金は、負担額が大きく相続財産で報酬が間に合わない場合に返金されないため注意が必要です。
【注意点3】
不動産売却の前に、家庭裁判所の許可が必要となり、別途手続きをしなければならないため、注意しましょう。